過去との決別

 「恨み心では、決して、恨みは解けない」
仏教では、そう言われています。
 これは、他の宗教でも通用します。
私たちは、過去に生きているわけではありません。
たとえ、つらくても未来に向かって生きていく。
それしか方法がないのです。
 いつまでも恨み心を持っていれば、
いつまでも過去に生きているのと同じです。
 日本は、第二次世界大戦で負けました。
敗戦国となりました。
 しかし、「自爆テロ」を起すことなく、
戦後復興に励み、経済大国となりました。

知覧 Chiran 2004 2 7

 鹿児島県に、知覧町という小さな町があります。
太平洋戦争の末期に、この町の知覧基地から、飛び立った飛行機は、
わずかな燃料と、大きな爆弾を積んで、
巨艦に見える「敵の戦艦や巡洋艦」に体当たりして、消えました。
 この飛行機を操縦していた者は、すべて若者でした。
戦力に、圧倒的に差がある場合に、
このような戦い方になってしまったのは、悲劇です。
これは、現代的に言えば、「自爆テロ」でしょうか。
 いずれにせよ、将来のある若者が、
このような死に方をしたのは、悲しいことです。
 その後、日本は、太平洋戦争に負けて、
アメリカに占領されましたが、
「自爆テロ」を起すことなく、
戦後復興に励み、経済大国となりました。
 戦勝国であるアメリカは、ベトナム戦争で失敗をして、
それが、契機となって、借金体質の国家となってしまいました。

「ひとひらの桜」
 飛行機の操縦も未熟な若者が、戦闘機の操縦席に乗り込んだ時に、
ひとひらの紙片のような、いや、ひとひらの桜が落ちてきたのです。
 それは、ひとひらの雪のように消え、
そして、若者の命も、ひとひらの雪ごとく消えていったのです。

知覧 Chiran 2005 10 31

 どうも、注目が靖国神社に集まっていますが、
決して、知覧を忘れてはいけない。
 あの時の若者が、生きていれば、
戦後日本の繁栄を見ることができたでしょうし、
今頃は、孫に囲まれて、豊かな老後を過ごしているでしょう。














































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